歯とかみ合わせの安定がいかに大切かを説明しましょう。
お口の中には、28本の歯がありますが、歯を1本でも失ったまま放置しておくと、ゆっくりかみ合わせが壊れていきます。もっとも多いのは、一番奥の歯を抜いて、そのまま放置すること。次に多いのは、6番目の歯(第一大臼歯、6才臼歯)を抜いてしばらく放置してから、ブリッジを入れるというもの。
一番奥の歯を抜いてそのまま放置した場合、年単位でゆっくり、抜いた側のかみ合わせが狂ってきます。例えば、右上の一番奥の歯が失われたとします。(通常、保険診療では満足できる治療方法がないので、そのまま放置するケースが多いのです。)
すると、右下の一番奥の歯が少しづつ上にのびてきます。極端な方は上の歯肉にあたるぐらいにのびます。つづいて、右のかみ合わせがゆっくり低くなってきます。つまり、右が咬みにくくなってきて、無意識に右を強く咬むようになり、歯が沈み込み、下顎の骨が上に曲がり、左にくらべ右側が上顎との距離が短くなっていきます。すると、右の歯を連ねたラインが奥にいくほど上にあがっていきます。つまり、咬むと右にずれやすいかみ合わせになっていきます。
やがて長い年月の間に下顎は右にずれまがった状態になり、顔貌が鼻より下が右まがりになります。そして食べ物が咬みにくくなります。また、右の顎関節が圧縮され、変形してきます。関節としての機能が障害され、顎関節症という病気を引き起こす場合もあります。
次に、6番目の歯(第一大臼歯、6才臼歯)を抜いてしばらく放置してから、ブリッジを入れた場合を説明しましょう。例えば、右下の6番目の歯(第一大臼歯、6才臼歯)が失われたとします。

そのまま放置していると、7番目の歯が手前に倒れてきます。(この時点ですでに右側がかみ合わせが低くなっています。)また、上の6番目の歯が下にのびてきます。その状態で、下顎の7番目の歯と5番目の歯をけずって、765の一体となったブリッジを入れるとします。すると、右の歯を連ねたラインが直線またはゆるやかなカーブのラインから、6番部位で強くカーブするいびつなラインになります。これが、その後の決定的なかみ合わせの崩壊につながっていきます。
やがて数年で上の6番目の歯がぐらぐらしてきて痛くなるか、物がはさまるようになり、虫歯ができやくすなります。(顎の関節が障害をうけて、顎が痛くなる場合もあります。)やがて、上の6番目の歯がぐらぐらで保存できなくなり、抜くことになります。抜いたあと、またそのまま放置しておくと、上の7番目の歯が手前に傾いてきます。そしてますます、右側のかみ合わせが低くなっていくのです。やがて、右上の5番目の歯がぐらぐらとしてきて沈み込んでいき、7番目の歯はさらに傾いていきます。あとは先にのべたものとおなじ経過をたどります。
いずれにしても、上記2例のように骨格系に歪みやねじれがでてきますと、一定以上の歪みで、神経が圧迫され、頭痛、肩凝り、腰痛、咬合痛、視力障害、耳鳴り、手のしびれなどがあらわれます。そして毎日のつらい生活が始まります。内科や整形外科へ受診してもなにも見つかりません。やがて医者不信になって精神的な病気になる方もいます。
また、28本の歯がそろっていなかったり、かみ合わせが狂ってくると、咬む能率が落ちてきます。つまり丸飲みの生活が始まります。そのままで長い年数がたちますと、胃腸に負担がかかり、胃炎、胃潰瘍、胃ガン、十二指腸潰瘍、大腸ガンなど、胃や腸に病気があらわれることになります。
歯が1本失われただけで、以上のようなかみ合わせの崩壊がおこってきます。まして、2本3本と失われるとその歪みが大きくなるのは想像できるでしょう。そしてそれは他の病気を誘発するのです。歯は28本そろっていることが、いかに大切かお分かりいただけたでしょうか。
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